カッピング

カッピング痕の色味は、その部位の状態を表す指標となります。

黒に近い紫色は血行が悪い状態を指しているため、改善が必要でしょう。

身体の状態が気になるという方にも、カッピングはおすすめの施術です。

カッピング痕は数日残るため、海やプールに行く予定がないときがおすすめです。

◇カッピングの内容

カッピングは「吸い玉」とも呼ばれている施術です。
背中やお腹などに、真空状態にしたカップを吸着させることによって、血の巡りの改善を図ります。

カップは、数分から十数分ほど身体に吸着させます。
その間、患者様は寝ているだけです。
カップは一つだけでなく、複数個並べるようにして使うことが一般的です。
また、気圧を下げたカップを皮膚の上を滑らせながら吸引する方法もあります。

◇カッピングの仕組み

カップを身体に密着させ、内部の気圧を下げて真空状態に近づけます。
すると、血管が一時的に強く収縮し、深部で滞っていた血が吸われるようしにして、皮膚の表面に浮上していきます。
この滞っていた血は「於血（おけつ）」と呼ばれています。

カップを外すとその部分に一気に血が流れることで、於血が流れ去るとともに、溜まっていた老廃物も排出されやすくなります。

カッピングをすると、皮膚表面に赤っぽい色が残ることがあります。
この色味も非常に重要で、悪いところは紫色のような濃い色となります。
施術者はその色の濃さをみて、身体の悪いところを探し出します。

◇カッピングで
アプローチする於血について

「於血」とは、漢方で使われる言葉です。
血の流れが滞り、身体に充分な栄養がいき渡っていない状態のことを指します。

血の巡りが悪くなるとクマやシミ、肌荒れなど、肌トラブルの元となります。
また、肩こりや頭痛、ひどい生理痛がもたらされることもあり、体調不良の原因となることもあります。

◇カッピングで使う道具

カッピングで使う道具は、「カップ」と呼ばれています。
ガラス製のものやプラスチック製、シリコン製のものがあります。

丸い小瓶のようなものを、逆さにして皮膚に密着させるイメージです。
皮膚に密着させる部分の直径は、3cm〜7cmとなっており、身体の状態や目的に応じて使い分けます。

当院ではプラスチック製のカップを採用しています。
万が一落としてしまったときも、患者様や施術者がケガをする心配がありません。

◇カッピングの痕について

カッピングをしたあとに、於血痕と呼ばれる円状の痕がくっきりと残ることがあります。
この於血痕の色味をみることで、身体の状態を確認します。

於血痕の色味は、グラデーションのように4段階に分類されます。

・薄いピンク：血液の流れが良好
・黒味がかった赤：血液の流れが少し悪い
・黒味がかった紫：血液の流れが悪い
・黒に近い紫：血液の流れがかなり悪い

背中のカッピングでも、カップをおいた場所によって於血痕の程度がはっきりと違うこともあります。

◇カッピングの注意点

カッピングをした後は、めまいやふらつき、倦怠感といった好転反応が出やすくなります。
飲酒や激しい運動を避け、ゆっくりと身体を休ませましょう。
※好転反応とは、身体が良くなろうとする際の反応であり、一時的なものになります。

また、数日から数週間にわたって於血痕が残ることもあります。
露出の多い服装をしていると目立ってしまうことがありますので、痕が和らぐまではコーディネートにも工夫が必要です。

カッピングは血液に働きかける施術です。

期待される効果も、おもに血液に関連するものになります。

また、患部の状態を確認するために行うこともあります。

カッピング痕の状態を考慮したうえで、マッサージや筋膜リリースといった別の施術を受けると、カッピングによって不調がある場所が明らかになっているため、より効果的です。

こちらでは、カッピングで期待される効果についてご紹介します。

◇血液をきれいにする

カッピングでは、カップの中の空気を抜いて生み出した陰圧によって、深部に溜まっていた於血を皮膚表面にまで押し上げます。
ドロドロとした血が取り除かれやすくなるため、体内を流れる血液がきれいになる効果が期待されます。

◇血行を良くする

カップを身体に吸着させると血管が一時的に強く収縮し、血の巡りが緩やかになります。
しばらく置いた後にカップを外すと血管が一気に拡張するため、血の巡りが悪かった部分の血管も広がりやすくなり、全身に血が流れやすくなる効果が期待されます。

◇血管を強化する

カッピングによって血行が良くなると、血管の内側に付着していたコレステロールといった物質も押し出されて、流されやすくなるといわれています。
そのため、動脈硬化の予防が期待されます。
また、カッピングの陰圧による血管への刺激が血管の強化にもつながると考えられています。

◇皮膚の若さを保つ

肌の老化は、肌のターンオーバーと関係しているといわれています。
歳を重ねるごとに、肌のターンオーバーは遅くなり、角質が表皮に留まるようになります。

するとメラニン色素も皮膚に残り、シミやしわといったトラブルにつながります。
また、肌のターンオーバーは老化だけでなく血行不良が関係していることもあります。
カッピングによって血の巡りを改善することで、肌のターンオーバーに働きかけ、皮膚の若さを保つ効果が期待されます。

◇内臓の動きを活発にする

お腹にカッピングすることで、胃や腸といった消化器系にも刺激を与えることができ、弱くなっていた働きを改善する効果が期待されます。
消化液の分泌が活性化されると消化・吸収・排泄といった機能が高められるといわれています。

◇自律神経を整える

カッピングの刺激は、交感神経と副交感神経から成る自律神経へのアプローチも期待できます。
交感神経や副交感神経は、首や背中、腰に伸びているため、その部分にカップを吸着させることで血流の改善を促し、バランスの調整を図ります。

自律神経のバランスが整うと精神的にも安定しやすくなります。
そのことで夜寝付けない、ストレスで胃がキリキリするといった症状の緩和が期待されます。

◇便秘の改善

便秘は、便を肛門へと移動させる腸のぜん動運動の機能が弱まり、便に含まれていた水分が腸でかなり吸収されてしまうことが原因の一つだといわれています。
お腹にカッピングすることで腸が刺激され、ぜん動運動が活発化する効果が期待されます。
便がスムーズに移動するよう働きかけますので、便秘の解消にもつながると考えられています。

◇免疫力の向上

血液やリンパの流れが良くなると内臓の働きが回復し、基礎代謝の向上が期待できます。
身体活動が活発になるため、細菌やウイルスが侵入したときにも免疫が働きやすくなる効果を目指せます。
また、腸の働きが整うと免疫細胞が多く存在する腸内環境も安定するため、免疫をサポートしてくれると考えられています。

カッピング療法はカップをツボに吸い付けることで、老廃物や二酸化炭素などを含む体液を物理的に吸い上げます。

その結果、血流の改善と老廃物の軽減が期待でき、新鮮な酸素と栄養素をもった血液の循環を促します。

慢性的な疲労感、頑固な肩こり、冷え、むくみなどの改善が期待できます。

また、酸素や栄養素が細胞にいき届きやすくなると、細胞組織の新陳代謝がスムーズになり、体温上昇につながります。

そのほかにも血管中のコレステロールなどが老廃物とともに減少されることが期待でき、血管の強化や血栓の予防にもつながります。

国家資格保持者が施術を行う鍼灸院では、解剖学的な観点や東洋医学的な側面からカッピングの反応を検証します。
癒しよりも症状の根本改善の観点でお悩みに向き合い、施術を行います。

カッピングのほか、お灸によって血行をさらに促進し、筋肉の緊張が強い部分には鍼を打つといったアプローチも可能で、身体の不調のより効果的な改善が期待できます。

当院で使用する吸い玉はポンプ式のため、やけどの心配はありません。